華氏911

衝撃を受けた映画、No.2でした。華氏911

全然知らなかったよ〜、という事実はなかったのですが、ここまでひどい事態になっているのか、という衝撃が何度も襲いかかってきます。
イラクの普通の人々が爆撃や銃撃で死んだり、一生残る傷を負ったり、夜間の家宅捜索や虐待を含めた理不尽な扱いを受けている状況。理不尽な戦場で、もうモラルを維持できないアメリカ兵。
ストレートな映像です。復讐をアラーに叫ぶおばさんの怒りや、死んだ子どもを抱えたお父さんの怒りや、亡くなったアメリカ兵の遺体を吊す人々の怒りは本物で、イラクの惨状は本当にひどい。
貧困から抜け出そうと兵隊になって、死んでしまったり、手足を失ったりするアメリカの若い人たちの状況も、選択肢も与えられないイラクの人たちほどではないにしても、ひどい。世界最強の軍を維持するために、貧しい地域はこれからも貧しいまま、是正措置も取られずに放置されてしまうのではないのだろうか、と思ってしまいます。

民主主義の国が、いまの指導陣のなりふりかまわない腐敗ぶりと、富の極端な集中と貧困の深刻化にあるということは、どういうことなんだろうと考えさせられます。どうして国民の人生や税金が一部の裕福な人の資産をさらに増やすための戦争という「投資」に使われてしまうのか。このまま不幸を生み出す構造は加速していくんだろうか。アメリカに倣う日本はどうなっていくのだろうか。私は、もっと自分の国のことや、民主主義や資本主義のことを知りたいと思いました。

ボーリング・フォー・コロンバインは、ある程度は客観的に他人事として観ることができます。
でも華氏911はすべての人にとって他人事ではない課題を突きつけていると思います。この映画は、明らかに世界の構造が狂ってきているこの時代を、実感させてくれます。
必見です。

http://www.kashi911.com/
http://www.michaelmoore.com/